宮崎県日南市大堂津。
日向灘と細田川に挟まれたこの南国の港町には、
太陽の光をたっぷりと浴び
豊かな自然に包まれた土地ならではの風土があります。
 
 
創業は1892年(明治25年)
時代の流れを静かに見つめ続ける蔵では、
今なお土蔵造りの醸造蔵と麹室のもと、
伝統的な焼酎造りが受け継がれています。
「一壺春」は、その中でも特に長期熟成にこだわり、
3年以上の歳月を経た原酒を慎重にブレンドして
仕上げられた一本です。
甕壺仕込み・甕壺貯蔵という手間を惜しまぬ製法により
酒質にはしっとりとした丸みと品のある深みが生まれています。
口に含むとまずはやさしい芋の甘味が静かに広がり、
次第にしっかりとした旨味と
コクが奥行きを持って立ち現れます。
軽やかでありながら芯が通った味わいは
まさに熟成がもたらす落ち着きと風格の賜物です。
香りにはほんのりと甘やかなニュアンスがあり
余韻は長く、静かに消えていきます。
ストレートで味の骨格をじっくりと楽しむのも良し。
ロックで冷たさの中に浮かび上がる輪郭を味わうも良し。
お湯割りにすることで芋本来のふくよかさと
優しい甘さが一層引き立ち
心まで温まるひとときを演出します。
ゆるやかな風が吹く夕暮れ時、
台所から漂う出汁の香りに誘われて
焼き魚や煮物を囲む団欒の席。
だし巻き玉子や白和え、筑前煮など
穏やかな味わいの和食との相性は格別です。
さらに熟成の香味を活かし味噌漬けのチーズや
炙ったカラスミといった発酵食品とも好相性をみせます。
酒名の由来は、古の詩人・劉伶が詠んだ漢詩にあります。
「春の酎が一壺あれば、我が身すら忘れられる」
「長生きの術があろうとも、ただ酔いに身をゆだねていたい」
この一壺が、あなたにとっての”春”となることを願って。
日々の喧騒を離れ、心静かに、
自分だけの時間に寄り添う一杯を。
焼酎の奥行きと、造り手の想いの深さを
どうぞゆっくりとご堪能くださいませ。
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