時を経るごとに、味わいを深めるものがあります。
この一本もまた、まさに「時間とともに完成へと向かう」
稀有な日本酒です。
 
 
明治・大正期の酒造りを忠実に再現した、
希少なお酒を醸す蔵元による逸品。
その製法の原点は大正6年に
編纂された古書に記された戦前の伝統的な醸造技術。
現代のように温度管理や酵母の制御に頼らず
自然の摂理と職人の勘に委ねることで、
その年ごとに異なる味わいが生まれる
一期一会のお酒でございます。
出荷される本数もごく限られ、
まさに「酒を育てる」ような
楽しみを感じていただける特別な一本。
開栓直後には、米の柔らかな香りに
ほんのりとナッツを思わせるニュアンス。
重厚感のある甘みと、繊細な酸、芯のある旨味が口中に広がり、
その余韻を凛としたアルコールのキレが静かに引き締めます。
この段階ではまだ、熟成による深いコクや
カカオのような香りは控えめ。
しかし、そこからがこのお酒の「本当の旅」の始まりです。
開栓後、時間をかけて空気と触れ合いながら
変化していくその姿は
まるで静かに熟れていく果実のよう。
半年ほど寝かせることで、甘みと旨味はふくよかさを増し、
やがてはカカオやビターチョコレートのような
深く芳醇な香りが現れてきます。
ゆっくりと常温で育ててゆく楽しさもこのお酒の醍醐味。
時折グラスに注いでは、その変化を確かめながら、
季節の移ろいや日々の自分自身の心と重ねて味わう
そんな時間がよく似合います。
また、燗をつけることで、さらに奥行きのある世界が広がります。
温められたお酒が立ち上らせるのは、重厚で奥深い香り。
旨味は輪郭を得てよりくっきりとし
柔らかく、そして芯のある味わいが
全身に沁みわたるように広がります。
脂ののった鴨のロースや、甘辛く煮た牛すじ煮込み、
ビターなチョコレートや、焼き栗などと合わせても格別です。
熟成が進むほどに発酵食品や
熟成系チーズとの相性もより濃密なものとなります。
静かな夜に、あたたかな照明の下で、
お酒の変化に耳を澄ませるような特別な時間に。
どうぞ、時を味方につけるこの一杯を、
ご自宅の片隅に大切に置いていただき、
日々の暮らしの中で、ゆっくりとお楽しみくださいませ。
茶瓶 1800ml…5600円(税込)
緑瓶 1800ml…5600円(税込)
緑瓶 720ml…2960円(税込)